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ABA『子育てブラックジャック』先生の関りが見れる本

今回ご紹介する本は、発達障害界では有名な『子育てブラックジャック』こと奥田健次先生の本です。全国を旅する家庭出張型セラピーを行っていてる先生です。私が先生を知ったのは娘がまだ就学前の頃でした。

テレビで『高い所ならどこにでも登ってしまう発達障害の子』に対し、(うる覚えですが)その子がタンスなど高い所にのぼると、家具などを揺らして必ず落とすというものでした。

テレビではその場面しか見ていなかったのですが、強めのABA(応用行動分析学)という印象でした。当時私はABAについて勉強し始めたばかりで、テレビを見た後に、自分が読んでいたABAの本を見てみると、既に奥田先生の本を数冊持っていました。※強めのABAなんて言葉はありません。

その後、支援学校に通うお母さん達からも奥田先生の名前は聞き「奥田先生って知ってる?」「うちの子も先生に見てもらいたい」「小さい頃に見てもらっていたら、今頃違ってたんだろうなぁ」「ABAを小さい時からちゃんとやったら良かった」というものでした。


今回ご紹介する本はマンガでは有名な本ですが、マンガ版よりもエピソード事例が多い増補文庫版となっています。

障害を理解していて、発達障害全体に当てはまる方法を知っている方は多いですが、1人ひとりの個々のケースにアレンジし、応用する引き出しを持っている専門家は多くないのが現実です。その先生の支援方法が垣間見れる本です。

文庫本
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目次

今回の本は、先生が専門誌『アスペハート』(アスペ・エルデの会)に約8年に渡って連載してきた中から抜粋し、2014年8月に刊行された本を文庫化し、加筆・修正を加え2022年2月に増補文庫版として刊行したものです。

内容は全て実際のケースに基づいていますが、本人を特定できないように仮名にし、事実関係を損ねないようにアレンジしてあります。

本を読む前に

この本を読む前に、気を付けてほしいことがあります(本の中にも書かれています)。それを簡単にまとめました。

  • この本の内容は、個々のケースに合わせて作られた方法なので、他の子にも同じ効果があるとはいえません。
  • 特に『他害・暴力・暴言・癇癪・行動障害』などの行為への介入については、省略されて書かれていません。
    • 教師や親による濫用が起こりやすいため「行動分析学の専門家から監督・指導を受けるべきである」とあります。
  • エピソード本なので、今すぐ手立てが欲しい方には向かない本です。
  • 言葉が話せる子のお話です。
  • 一見、型破りな方法に見えますが、共通原理エビデンスに基づいた方法を使っています。
  • この本に載っていることは、先生のやり方の一部分にしか過ぎません。
  • 発達障害のある子は関わり方次第で、こんなにも変わるんだという事実を知る本です。

どのお話も、支援の基本であるスモールステップ・視覚支援・ご褒美・トークン・見通し・プロンプトなどが随所にあり、関り方・考え方として勉強になります。そして純粋に読み物として面白いですし、先生の子どもへの愛情を感じる本です。

マンガ版もあります

この本はマンガ版もあります。マンガ版は、今回の文庫本からの4、5話程度の選り抜きとなっています。(話数は少ない)

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ライン漫画アプリで途中まで無料で読めます

ライン漫画では、アプリだと途中まで無料でみることができます(2024.4現在サトちゃんの途中まで)

まんが版本書
1-4話レンくん 2話
5-6話レイアくん 7話
7-10話サトちゃん11話
11-14話マシモくん 6話
15話トイくん10話

特にマンガ版のレンくんの、家族への暴力を止める場面は、文庫版では文字なので分かりにくいですが、マンガだと一目瞭然で分かりやすかったです。

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開発元:LINE Corporation
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マンガ 奥田健次の出張カウンセリング

またマンガ 奥田健次の出張カウンセリングの「十津川警部」のお話は、この文庫本には入っていないそうです。

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他におすすめの先生の本

先程もABAの専門家とお伝えしましたが、他にもおすすめの本を紹介します。

メリットの法則

2012年発売された古い本ですが、ABAの本として今でもベストセラーとなっている本です。

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明るい療育相談室

ABAの専門家である奥田先生と小林重雄先生が、Q&A形式で54の質問に答える本です。発達障害児の親なら誰しも直面する問題が載っていておすすめします。

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明るい療育相談室【目次】

第一章 生活編 毎日の生活を楽しく

  • Q1 「寝ぐずり」と「夜泣き」が激しくて困っています。
  • Q2 そろそろ一人寝をさせたいのですが、可能でしょうか?
  • Q3 食事中、落ち着いて座って食べてくれません。
  • Q4 まだ手づかみで食べようとする癖があります。
  • Q5 偏食のためか食事時間がダラダラと長すぎます。
  • Q6 食べ物を飲み込んで吐き出してこねてしまいます。
  • Q7 トイレットトレーニングがうまくいかず、失敗が続いています。 
  • Q8 うんちがトイレでできません。
  • Q9 女の子にいやらしい感じで抱きついてしまいます。
  • Q10 歯磨きがうまく一人でできるようになってほしいのですが…
  • Q11 お薬を嫌がらずに飲ませるよい方法はありませんか?
  • Q12 着替えに時間がかかります。
  • Q13 お小遣いの渡し方を迷っています。

第二章 遊び編   遊びを元気に楽しく

  • Q14 一人遊びが多く、人を避けてばかりいます。
  • Q15 遊びのやりとりができません。人とのやりとりを高める秘訣を教えてください。
  • Q16 遊びは一人遊びが中心で、物を並べることに固執しています。
  • Q17 片付けがなかなかできません。
  • Q18 テレビゲームに夢中すぎます。このままで良いのでしょうか?
  • Q19 高いところに登るのが心配です。叱っても効き目がありません。
  • Q20 水遊びがひどくて、放っておくとずっと続けています。

第三章 お友達編  お友達と仲よく

  • Q21 幼稚園の門の前で別れるときに泣くようになりました。
  • Q22 空想のようなことを言っていたと思ったら、嘘をつくようにもなりました。
  • Q23 弱い子をつねったり、つきとばしたりします。
  • Q24 順番抜かしをするのですが、大切なルールを教えるにはどうすればよいのでしょうか? 
  • Q25 障害があるのは明らかなのですが「高機能」と言われて困惑しています。

第四章 ことば編  ことばのやりとり

  • Q26 「要求の泣き」が強くて困ります。
  • Q27 着席して課題をさせようとしてもすぐに逃げてしまいます。
  • Q28 無発語の状態ですが、やりとりを発展させていく方法はありますか?
  • Q29 おうむ返しが目立ちますが、おうむ返しは良くないことなのでしょうか?(エコラリア1)
  • Q30 おうむ返しが目立ちますが、会話に発展させるためのアイデアを教えてください。(エコラリア2) 
  • Q31 獲得した語彙をコミュニケーションとして使うようになるためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか? 
  • Q32 「なんで?」「どうして?」などの質問が止まりません。

第五章 行動編   困った行動との付き合い方

  • Q33 アスペルガー障害と診断されました。
  • Q34 体調不良を訴えて登校をしぶるようになりました。
  • Q35 道順や順番のこだわりに対してどうすればよいのでしょうか?
  • Q36 洋服にこだわりがあって困っています。
  • Q37 収集癖が強くて困っています。
  • Q38 外出先での多動を何とかしたいのですが…
  • Q39 飛び出し行動があります。家庭や専門機関で取り組める方法はありませんか?
  • Q40 授業中の立ち歩きにはどうすればよいでしょうか?
  • Q41 家族への暴力に対して、どのように対応すべきですか?
  • Q42 きょうだいに対する暴力をなんとかしたいのですが…
  • Q43 動物への乱暴に対する指導方法を教えてください。 
  • Q44 肥満になって不活発になりましたが、何か気をつけることがあれば教えてください。
  • Q45 指しゃぶりがまだ続いています。
  • Q46 性的な関心が強いようで心配です。
  • Q47 つば吐きの癖をどうにかできないものでしょうか? 
  • Q48 行動療法にもいろいろあるようですが…
  • Q49 常同行動や自己刺激行動とはどんなものなのでしょうか? 

第六章 学校編  学習・学校の課題

  • Q50 鉛筆の持ち方を教えてください。 
  • Q51 算数の文章題が苦手です。どういう力を付けていけばよいのでしょうか? 
  • Q52 通常学級での一斉指導は有効なのでしょうか? 
  • Q53 教室で騒ぐ児童に、何かよい指導法はありませんか? 
  • Q54 家庭での余暇の過ごし方にはどんなアイデアがありますか? 

おすすめの本

あとがき

著者紹介

子育てのほんとうの原理原則

この本は、2009年に刊行された『子育てプリンシプル』に加筆修正を施し改題の上、再編集して2022年6月出版したものです。先生の考えのまとめのような本です。

子育てのほんとうの原理原則【目次】

PART1 これだけは、絶対守りたい20のこと(1)

  • 親に求められる姿勢
  • 典型的なダメ親とは
  • わが家のルールのつくり方
  • 家庭でのルールの守らせ方
  • 親と子の立場と役割
  • 目指すべき家族のあり方
  • 「子ども」の奥田流分類
  • 自立をうながす育て方
  • ストレスを乗り越えさせる
  • 子育てに役立つ催眠、魔法

PART2 これだけは、絶対守りたい20のこと(2)

  • 失敗経験から学ぶこと
  • 効果的な目標設定の技術
  • うまい叱り方とダメな叱り方
  • 動因と抑制のバランス
  • 公共心と私心
  • 演出家、プロデューサーになる方法
  • 感情コントロールの大切さ
  • スマホ、携帯電話との向き合い方
  • 不登校のリスクを高める子育て
  • 「親子ともによい育ち」、日本初の幼稚園で行われている教育

あとがき
子育てプリンシプル
子育てのほんとうの原理原則


特に、「目指すべき家族のあり方」の三つの家族の分類のところは、以前ご紹介した本の親の話と同じだなぁと思いました。

ABAの家庭療育なら

奥田先生の本ではないのですが、ABAを家庭療育でやりたいと考えている方には、次の井上先生の本がおすすめです。古い本ですが、今でも十分参考になると思います。

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本書の目次

1話づつに1人の子どもの事例が紹介されています。 
※[]の中は私が勝手に考えた内容のまとめです。

  1. 学校へ行こう チトくん
    • [登校しぶり・自己主張の練習]
  2. 暴力少年から正義の学級委員長へ レンくん
    • [正義感が強すぎることを活かす]
  3. 修学旅行大作戦! メイちゃん
    • [スモールステップで自信をつけさせる]
  4. 読字困難は笑って克服 ユマくん
    • [好きな文を読んで楽しいと思わせる]
  5. 自己主張を練習する ナナくん
    • [プロンプトカードを使い好きな物の会話をする]
  6. 脱・保健室! マシモくん
    • [学校の無理解と親の覚悟]
  7. ベッドウェッテイング卒業 レイアくん
    • [夜尿をゲーム感覚でご褒美を使い克服したケース]
  8. 「最悪」を練習する!? アリちゃん
    • [音読の不安を「最悪文」を作り面白くする]
  9. 食いしん坊から調理師への道 ノアくん
    • [好きを活かし食生活習慣を身につけたケース]
  10. 感動&爆笑の口上手! トイくん
    • [知識が偏りがちな子と先生のボケとツッコミ]
  11. お友達を叩くなら、むしろ外へ連れ出して! サトちゃん
    • [子どものペースに振り回されないように]
  12. 早起きはサーモンの得? テラくん
    • [寝起きが悪い時間を短くする]
  13. 「合言葉」の活用で生活向上 タスキくん
    • [忘れ物対策・自殺願望、希死念慮]
  14. 「特派員」になってフラッシュバックを克服 ダイアくん
    • [嫌いに関わり嫌いでなくなる]
  15. ナイトメアをぶっこわせ マイコちゃん
    • [悪夢対策]
  16. 目標達成ができないときは目標が悪い カイくん
    • [やればできそうな具体的な目標を立てる]
  17. アスパラをやっつけろ! リアくん
    • [偏食の改善]
  18. 悩める日々の設計図 マユーちゃん
    • [消去バースト、悩むなら計画的に]
  19. 「告知」ではなく「自己理解」を カルロくん
    • [みんな何かしらある]
  20. 障害と上手く付き合う ジーノくん
    • [強迫性障害・レコーディンク記録]
  21. 「稼ぎたい気持ち」に火をつける アルドくん
    • [家事に報酬を与える]

今回も、共感したり勉強になったところは沢山あります。その中のいくつかを紹介します。

8話16話)筆談方式

私は、アリちゃんのようにタイプの子どもさんから、本人がどうしても納得できなというような話を聞く際、よく「筆談」を使います。以前、学会でも発表しましたが、うまく利用すれば「一石三鳥」くらいになります。多弁を防げるし、頭の中を整理しやすいし、こちらの提案を目で見て考え後から振り返ることもできるのです。

引用:8話「最悪」を練習する!?

「独り言は直らない、大人も、両親も、奥田先生もそうだよ」と相互に筆談形式でノートに書き込みます。私は他のケースでもそうですが、カイくんのように感情のコントロールが難しい子には筆談形式で面接を勧めることがあります。

引用:16話 目標達成ができないときは目標が悪い

私も娘と大事な話をするときは、筆談形式で会話します。短期記憶が弱い娘は、目に見えない音声言語が記憶として残りにくいため、文字で見せた方がすんなり理解してくれます。先生もお子さんの特徴にあわせて筆談形式を使っているのですね。

一石三鳥以上ですね

娘の話

娘が小さい頃は、感覚過敏が強く病院に慣れていないこともあり、病院の受診が本当に大変でした。特に予防接種と耳鼻科が苦手で、診察のあとはよくパニックを起していました。私がいくら話しかけても普段なら通じる音声言語も入らなく、音を全てシャットアウトしているかのようでした。

その時とっさにスマホのメモ画面で文字を入力し、帰宅した後にご褒美があること、その後のスケジュールを見せると、ぴたりと止まったのです。混乱している時ほど音声言語が入らないのだとはじめて実感した日でした。以前紹介した本の通りでしたね。

そして自閉症の人のパニックは「パニック障害」のパニックとは違い、パニックの最中は頭が真っ白になっていない。激しい行動を起こしながらも周りの人を見ていて全て覚えているという特徴がある。どこか冷静さを持っていて、おさまる時は一瞬でおさまるということがある。

引用:自閉症の人の人間力を育てる

現在も何か不安や訴えがあったとき、私から説明したいときは、筆談形式で話をし、娘の反応の言葉も書いていきます。そのことで、無駄に不安な言葉を繰り返すことがなくなりました。

18話20話)強迫性障害

18話)100の質問に100の答えを返さなくてもいい

子どもの質問の全てに答える真面目な親は多いと思います。しかしそれが続くと、青年期以降に弊害が出る可能性が高いといいます。

高校2年生アスペルガー症候群のマユーさんのお母さんは、子どもの発した言葉にそのまま直球で応じていましたが、先生はそれに対しアドリブで返すことを伝えました。

子どもからしたら、今まで全て思い通りに母親の応答を引き出していた(強化されていた)のですから、それが思い通りにならない(消去)が起きると、見たこともないくらいに不機嫌になり、文句が増えて、場合によっては泣いて怒って暴れるようになります。

引用:18話 悩める日々の設計図

これはABAでは「消去バースト」といわれ、一時的に問題行動の頻度や時間、強度が増える状態をいいます。別の問題行動が起こることもあります。消去バーストが起こることをあらかじめ予想して、計画を立てからて実行し、消去を徹底的に継続して行わなければいけません。途中でその激しさに大人が負けて諦めてしまうと、問題行動はますます強化され直すことができなくなってしまいます。
応用行動分析学の専門家に監督・指導を受けるべきであるというのは、こういう理由からです。

20話)具体的な言葉には反応せず独り言を

「強迫性障害」の始まりは、自閉症のこだわりなのか強迫行為なのか一見区別がつきにくい行為です。

先程の18話のマユーさんと同じで、親が子どもの質問すべてに答えてしまうと、青年期以降に強迫性障害になる可能性が高いというのです。

目的を聞かれれば、目的を答える。時間を聞かれれば、時間を答える。不安や心配に対しては、励ましを与える。教育相談の最中であろうと、送迎の車の中であろうと、ジーノくんのご両親は100回中100回、いつでもどこでも応じていました。

引用:20話 障害とうまく付き合う

案の定、ジーノくんは中3の相談時には、トイレが30分、お風呂が2時間とかかっていました。トイレットペーパーやシャンプー類、水道の消費量も増えました。親御さんはお金を払わせるという罰則を与えようかと思ったそうです。

しかし先生の考えは、何でもかんでも直そうとせずに『日常生活でどれくらい困っているか』を基準にすること。本人が気づき、気を付けて、自分の特徴を理解できるように手伝ってあげる感じでいきましょうと記録を可視化し時間短縮に成功しました。

私は、「障害を直すというより、生活を立て直す」というスタンスで支援しています。「障害とはうまく付き合う」というイメージです。

引用:20話 障害をうまく付き合う

障害は直らないから「障害」なのであって、上手く付き合っていく方法を教えたいです

娘の話

hakuも強迫性障害予備軍です。不安なときほど何度も何度も、私を質問確認攻めにします。以前記事で書きましたが、質問攻めにはもう慣れているので私はあえて答えないようにしています。

その代わり不安になりそうなところを、口頭でも視覚的にも(文字・絵・図・動画)具体的に説明し、いつでもそれを確認できるようにしておいて、あとは「答えない」というスタンスです。聞いてきても自分で情報を確認してもらっています。

不安に答えれば、より質問確認行為が強化され、私の答えがまた新たな刺激となりもっと不安にさせてしまうというのは、娘を見ていて思いますし、他の支援学校のお子さんを見ていても同じだと実感しています。改めて腑に落ちました。親もスルーする力、動じない力が求められます。

4話8話)読字障害

読むことに苦労している子どもは多いと思います。繰り返し練習したり、簡単な文を読ませるやり方が一般的のように思いますが、先生のやり方はとても斬新でした。

読みを楽しいと思わせること」「読ませようではなく、読みたくなるように」を目標とし、面白い楽しい好きな文を一緒に読むという発想は、なかなか思いつかないと思います。

音読だけでなく、苦手なことは楽しく学ぶことが大事ですね

19話)障害の告知

本人への障害の告知に悩まれる親御さんは多いのではないでしょうか。障害の重い娘には関係のない話なのですが、先生の告知が、本人を必要以上に傷つけなく、受入れやすい方法だと思いました。

告知よりも「自己理解」を

小学6年生アスペルガーのカイロくん「ぼくが障害者だから?」と聞いてくることが増え、お母さんが先生に相談されました。

「告知」というのは、単なるレッテル貼り行為です。その後、何ができるか、何が起こるかが大切だと思いませんか?

もしレッテル貼りだけされると不安だけが生じます。でも「何ができるか?」には「ワクワクするようなチャレンジ」、「何が起こるか?」には「楽しそうなこと」が想定できるなら、かなり印象が変わってきます。自分には「ワクワクするようなチャレンジ」がある、そしてそれは「楽しそうなこと」だと気付くために、自己理解があると考えてください。

引用元:19話「告知」ではなく「自己理解」を

詳しい内容は省きますが、自分だけではなく、みんな何かしら持っているという風に伝えられるところがすばらしいと思いました。

特に知的障害がない発達障害の方は、得意を活かして活躍している人も大勢いますよね。

21話)家事スキルと金銭感覚

子どもに身につけさせたいこととして、家事スキルと金銭感覚の問題があると思います。

「買えない体験」をどうやってさせるか

ガチャガチャでお金を使い切ってしまったアルドくんのお話です。

親御さんの多くは、最初から「貯めること」を教えようとする傾向があります。貯めることを最初から教えてはいけません。「使うこと」が最初であるべきです。「使うこと」「稼ぐこと」をしっかりやっている親御さんでも「買えない体験をすること」、つまり破産体験を子どもにさせる人は、かなり少数派になってしまいます。

引用:21話 「稼ぎたい気持ち」に火をつける

ガチャガチャでお金ないアルドくんへ「破産体験」のアドバイスが秀逸です。

これは目から鱗でした。確かに効果ありそうですね。失敗は子どもの内に経験させた方がいいと思いました。

そして「できるだけすぐに次のチャンスを与える」と書かれています。以前紹介した本でも同じことが書かれていて大事なことだと思いました。

失敗した経験をしたあとは、なるべく間隔をあけないでもう一度挑戦して、いい経験にしてあげてください

引用:自閉症の人の自立への力を育てる

家事に報酬を

家庭で自立課題をこなした分を、工賃としてもらっていたアルドくん。
今までタダでもらっていたおやつに値段をつけお金を払うこと2年。その後小学5年生から全ての家事に報酬が伴うようにしました。

単価の高い仕事には「低頻度行動」と配置します。どんなに金欠でもまずやろうとしないものは、一番上になります(報酬が高い)。この仕事を子どもに取られるようでは計算が狂いますので、子どものやられる前に親がやってしまうべきです。
そして単価の安い仕事には「高頻度行動」と。これはすでに毎日定着している日課のようなものや好きな活動が該当します。

引用:「稼ぎたい気持ち」に火をつける

単価のレートも高くしていき、中学3年生で月6千円、高校3年生で月8万円稼がせ、その代わりに家賃・光熱費・食事代などといって7万5千円巻き上げる。

つまり払う金額は多いですが、家の中でぐるぐるお金が回っているだけです。これならできそうです。

人間っていうのは、必ずしも手にできる額の高さで幸せを感じるわけではないんですよ。自分で使うために自分で稼いでいるという感覚が大切なんですよね。

引用:「稼ぎたい気持ち」に火をつける

その通りだと思います。お金は道具であって、目的ではありませんから、やみくもに稼ぐことが幸せでなないはずです。

娘の話

娘には以前紹介した本を読み『10歳の夏休みから10年計画で家事ができる人に』を実行し、家事に対し給料としてお金を渡しました。

ただ先生のアイデアのように、頻度によって金額を分けること、家のお菓子に値段をつけてはいなかったので、取り入れてみたいと思いました。

そして「破産させる経験」はいいですね。娘は以前、ATMはお金がいくらでも出る機械だと思っており、お金がなくてもATMがあるから大丈夫と考えていました。そのため娘本人の通帳をつくり、給料から一定額を貯金させてきました。しかし破産させるという発想はなかったので、これは今度やってみたいと思いました。

個別相談を希望される方は、次の注意事項FAQをご覧の上、お問い合わせください。
※原則として年齢制限があります。
※会員数に制限がかけられているので、必ず相談にのってもらえる訳ではありません。
※事前に先生の著書を読んでおく必要があります。

今回は、奥田先生の本を紹介させてもらいました。

先生のような子育てのスペシャリストは他に一人としていないでしょう。先生の他の本も読んで思うのは、子どものことを考えているからこそ、その分、親には厳しいということです。親も覚悟が試されます。

私は発達障害の子の関りには、ABAの知識は必須だと思っています。私が読んでいたABAの本は古いものが多いので、最近のABAの本はご紹介できませんが(自分が読んでいないので)、今までABAの本を1度も読んだことがない方は、いくつか読まれることをおすすめします。

文庫本
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