医療費の負担を減らす【自立支援医療】と精神手帳

自立支援医療をご存知でしょうか?障害のある子は定期的に通院・投薬を受けている子もいるかと思います。この金額は年間にするとかなりの額になりませんか。

指定医療機関での医療費が3割から1割負担になる制度を紹介します。

この記事はこのような方におススメです。
・こどもの医療費を安くしたい
・自立支援医療って何?
・手続きはどうすればいい?
・同時申請ってどうゆうこと?

目次

自立支援医療とは

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

自立支援医療には以下3つの種類があります。

1)精神疾患の治療に適用される精神通院医療

2)身体障害の治療などの適用される更生医療(18歳以上)

3)身体に障害がある子どもに治療に適用される育成医療(18歳未満)

以前はそれぞれが別々の法律で規定されていましたが、障害者自立支援法の成立により平成18年4月からこれらを一元化した新しい制度(自立支援医療制度に変更されました。

発達障害は「精神通院医療」ですね

精神通院医療 

概要と対象疾患

以下、厚生労働省からの抜粋となります。引用:厚生労働省

精神通院医療の概要

精神通院医療は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む。)を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対し、その通院医療に係る自立支援医療費の支給を行うものです。

実施主体

都道府県・指定都市

創設年度

平成18年度(旧制度は昭和40年度創設)

精神通院医療の範囲

精神障害及び当該精神障害に起因して生じた病態に対して病院又は診療所に入院しないで行われる医療(通院医療)です。
症状が殆ど消失している患者であっても、軽快状態を維持し、再発を予防するためになお通院治療を続ける必要がある場合も対象となります。

対象となる精神疾患
  • (1)病状性を含む器質性精神障害(F0)
  • (2)精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
  • (3)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
  • (4)気分障害(F3)
  • (5)てんかん(G40)
  • (6)神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
  • (7)生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(F5)
  • (8)成人の人格及び行動の障害(F6)
  • (9)精神遅滞(F7)
  • (10)心理的発達の障害(F8)
  • (11)小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F9)
  • ※(1)~(5)は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患

対象医療はデイケア・訪問看護・通院で、入院は対象外です。

自立支援医療の利用者負担

公的医療保険による医療費3割負担のご家庭が方が多いと思いますが、申請が通れば登録医療機関登録調剤薬局1件ずつに限り1割負担となります。

通院での作業療法・言語療法・理学療法のリハビリ1割負担になります。

さらに所得区分ごとの負担上限額が決められていて、所得に応じてひと月の自己負担額の上限が定められています。上限を超えた金額は公費で支払われます。

また統合失調症など高額な治療を長期間続けなければならない人は「重度かつ継続」という区分が適用され、別枠で自己負担額の上限が設定されます。

所得区分

所得区分に関係なく医療費は「1割負担」です。その上でさらに月の上限自己負担額もある制度です。

すごく有り難い制度ですね

生活保護:生活保護を受給している世帯
月負担額重度かつ継続の場合
0円0円
低所得1:市町村税非課税世帯で、本人又は保護者の収入が年80万円以下
月負担額重度かつ継続の場合
2.500円2.500円
低所得2:市町村税非課税世帯で、本人又は保護者の収入が年80万円より上
月負担額重度かつ継続の場合
5.000円5.000円
中間所得1:市町村民税(所得割)額が3万3千円未満の方
月負担額重度かつ継続の場合
医療医療保険の負担限度額5.000円
中間所得2:市町村民税(所得割)額が3万3千円以上23万5千円未満の方
月負担額重度かつ継続の場合
医療保険の負担限度額10.000円
一定所得以上:市町村民税(所得割)額が23万5千円以上の方

区分が「一定所得以上」の場合は自己負担額の上限が設定されていませんが、医療費は1割負担なります。
また医療費自己負担上限月額2万円の方に対する経過的特例は令和3年3月31日までとなってましたが、この経過的特例は令和6年3月31日まで延長されることになりました。
令和6年3月31日までの経過的特例です。

月負担額重度かつ継続の場合
公的負担対象外20.000円

参考:厚生労働省 障害保健福祉関係主管課長会議 資料4-4
参考:東京都福祉保健局 自立支援医療

参考:リタリコ仕事ナビ 自立支援医療ってどんな制度?

「重度かつ継続」とは

継続的に治療を必要とし、高額の医療費負担が発生する者」と認められると、経済的負担の軽減のため、月ごとの自己負担額に上限が設けられます。

「重度かつ継続(高額治療継続者)」の範囲は以下の1〜3のどれかに該当した場合です。

1 健康保険から支給される高額療養費が、「多数該当」(1年間に4回以上高額療養費に該当)している世帯
2 主たる精神障害が、国際疾病分類ICD-10コードにおいて次の分類に該当する方
・F0 症状性を含む器質性精神障害(認知症などの脳機能障害)
・F1 精神作用物質使用による精神及び行動の障害(依存症など)
・F2 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
・F3 気分障害(躁うつ病、うつ病など)
・G40 てんかん
3 3年以上の精神医療の経験を有する医師により、以下の症状を示す精神障害のため計画的集中的な通院医療 (状態の維持、悪化予防のための医療を含む)を継続的に要すると診断された方として、認定を受けた方
・情動及び行動の障害
・不安及び不穏状態

引用:【精神通院医療】「重度かつ継続」とは?

横浜市

申請【新規】

診断書を書いてもらいます

主治医の先生に診断書を書いてもらいます。診断書は病院が用意してくれるので役所に取りに行かなくて大丈夫ですよ。

手続きの種類と必要な持ち物

①自立支援医療費(精神通院医療)支給認定申請書
 自治体のホームページからダウンロードできます。

②自立支援医療(精神通院医療)用診断書 3カ月以内のもの

③「世帯」の健康保険証(マイナンバーの確認により省略できる場合あり)
 ※国民健康保険・後期高齢者医療制度加入者の場合は世帯全員、その他の健康保険加入者の場合は受診者と被保険者本人の書類が必要です。
 ※国民健康保険加入者の場合は、個人カード証へ切り替えになった後も世帯全員分のカード証の写しが必要です。

④所得・課税証明書(18歳以上の同一健康保険に加入している家族の分も必要です)
 ※1月1日その地域に住民票がある方は収入確認同意書に代えることができます。

⑤マイナンバーが確認できる書類 (マイナンバーカード、マイナンバーが記載された住民票の写し等)

⑥身元確認のできる書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、障害者手帳等)

※念のため印鑑もお持ちください。地域によっては郵送でも手続きできますので役所に問い合わせてください。

有効期限は1年間です

自立支援医療(精神通院医療)受給者証の有効期限は1年間です。更新の申請は有効期限が切れる3か月前から行うことができます。

受給者証が届くまでは

申請後しばらくたってから受給者証が送られてきます。しかし届くまでは一定の時間がかかります。その間に受診した場合は「自立支援医療の申請書の控え」を受給者証の代わりとして病院の窓口に提出すれば1割負担になることがあります。
※役所の方から説明があると思います。
※ただし全ての病院や薬局に通じる訳ではないので事前に確認してください。

「自立支援医療の申請書の控え」が代用できなかった場合

この場合、余分に払った医療費を後日払い戻すことができます。役所に以下の書類を持参しましょう。

受給者証

自己負担上限額管理票

3割負担で医療費を支払ったときの領収書の原本

※払戻しができるのは、受給者証有効期間内(期限切れの受給者証を含む)で、診察を受けてから3年以内です。

受給者証は郵送で届きます

デイサービスの受給者証と同じように、自立支援の受給者証が自宅に郵送で届きます。

使い方

病院や薬局の窓口で毎回受給者証を提出します。

受給者証入れ

受給者証の管理に困ってはいませんか?こちらの診察券ホルダーは、全然おしゃれではないのですが、とても使いやすいです。我が家は家族分それぞれに持っています。たまに売り切れになるほど人気です。

  • 診察券が16枚分はいる
  • 受給者証サイズがはいるホルダーが2つある
  • 背表紙にお薬手帳も入るサイズ

保険証や診察券を入れてもまだ余るので、印鑑登録カードマイナンバーカードも入れてます。使用レビュー書きました⇩

再認定【更新】

 受給者証の有効期間は、原則1年(1年後の前月末まで)です。
 継続して受給を希望される場合は、有効期間が終了する3か月前から更新の手続きができます。
 治療方針に変更のない場合、2年に1度は診断書の提出を省略できます。ただし、有効期間内に更新の手続きをされなかった場合、継続の取扱いができません。その場合は、新規申請の扱い(診断書が必要)となりますので、ご注意ください。

手続きの書類と必要な持ち物

①自立支援医療費(精神通院医療)支給認定申請書
 自治体のホームページからダウンロードできます

②自立支援医療(精神通院医療)用診断書 3カ月以内のもの
再認定申請の場合、診断書の添付を2年に1度に省略して申請することができます。ただし以下の条件があります。事前に主治医に確認してください。
・前回申請時に診断書を提出している。
・医師の判断に基づき治療方針に変更がないこと。
・有効期限内に申請すること。

③「世帯」の健康保険証(マイナンバーの確認により省略できる場合あり)
 ※国民健康保険・後期高齢者医療制度加入者の場合は世帯全員、その他の健康保険加入者の場合は受診者と被保険者本人の書類が必要です。
 ※国民健康保険加入者の場合は、個人カード証へ切り替えになった後も世帯全員分のカード証の写しが必要です。

④所得・課税証明書(18歳以上の同一健康保険に加入している家族の分も必要です)
※1月1日その地域に住民票がある方は収入確認同意書に代えることができます。

⑤自立支援医療(精神通院医療)受給者証

⑥マイナンバーが確認できる書類 (マイナンバーカード、マイナンバーが記載された住民票の写し等)

※念のため印鑑もお持ちください。地域によっては郵送でも手続きできますので役所に問い合わせてください。

【注意】更新の案内は来ません

受給者証の期限は1年間ですが更新の案内は役所から届きません。うっかり「2年に1度診断書をだせばいいのね~」と思っていたら期限が切れていて使えなくなっていることがあります。私のことです笑。

診断書は省略できるけど、手続きは必要です。

大体は病院の窓口で期限が切れそうなのを教えてくれます。
だけど絶対ではないので気をつけてください。

受給者証が届いたら有効期限の3カ月前をカレンダーに記入しておきましょう。アプリカレンダーがおススメです。

気をつけてください

変更手続き

次のような場合は、変更の申請(届出)をしてください。
 ・指定医療機関の変更があるとき(病院・薬局ともに)
 ・月額自己負担上限額の変更があるとき
 ・保険証が変わったとき
 ・居住地が変わったとき
 ・氏名が変わったとき
※原則、事前申請が必要です。

精神手帳との同時申請

診断書が1枚で済みます

精神手帳も申請してみようかな

と考えている方は、自立支援医療と同時申請ができます。2つは診断書の様式が同じなので、それぞれ申請するよりも、両方同時に申請した方が診断書の料金が1枚分で済みます。私は役所の方に

役所

精神手帳を申請されてはどうですか?

身分証が1つ増えるからいいか

とう軽い気持ちで申請しました。まさかマイナンバーの受け取りで役に立つとは思いませんでしたが。

※「精神手帳」と「自立支援医療」の2つの審査は、別の条件なので「精神手帳が通らなくても自立支援は通る」ということはあります。

同時申請した場合、審査に時間がかかり受給者証の発行が遅れる場合があります。

主治医の先生に「精神手帳を申請したら通りそうか」聞いてみてからでもいいと思います。

2つの更新時期がずれる時は

精神手帳と自立支援の更新時期がずれる時があります。

その場合は自立支援医療の有効期間を短縮し、精神手帳の有効期間終了日に合わせることができます(ただし、精神手帳の有効期間が1年未満の場合に限ります)。
なお年金証書等で手帳の申請をしている方は、対象となりません。

まとめ

今回は自立支援医療と精神手帳についてご紹介しました。

自立支援医療って知っていましたか?私はhakuが小学生に上がるまで知りませんでした。hakuが生まれる少し前にできた制度なので病院側も知らなかったのかも知れません。

発達障害の通院はお金に心配がありますよね。少しでも心配を減らして治療できるように自立支援医療を使っていきましょう♪

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