障害者「65歳の壁」問題をご存じでしょうか。
65歳以前から障害福祉サービスを受けていた人が、介護保険優先の原則により65歳になったことを理由に自治体から介護保険サービスの利用を求められ、介護保険に移行したことにより、今まではなかった利用負担の発生や利用時間の短縮、サービスの利用不可など生活に支障が出てしまう問題のことです。
実際に介護保険に移行したことで、生活が成り立たなくなった障害者の方たちが、自治体を相手に現在も各地で訴訟が起こっています。
なぜこのようなことが起こっているのか。何か親として知っておくことはないかと以前から思っていました。
この記事は、知的障害の親である私が、記事や本から学んだことを自身のアウトプット用に書いたものです。障害といっても、知的障害の親目線での記事となります。
私と同じように障害者と介護保険の問題に興味がある方は、この問題を一緒に考えてくださると嬉しいです。
介護保険優先の原則とは
まず「介護保険優先の原則」と関係のある条文として、障害者総合支援法第7条があります。
(他の法令による給付等との調整)
第七条 自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護給付、健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付又は事業であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受け、又は利用することができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付又は事業以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。
引用:厚労省 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
いきなり条文出されてもって感じですよね。。。
私は「原則」があるなら「例外」もあると考えます
自立支援給付とは
条文にもある「自立支援給付」とは何かを知るためにも、障害者総合支援法の給付と事業について理解しておく必要があります。
障害者総合支援法に基づく事業は、大きく「自立支援給付と地域生活支援事業」の2つにわけられ、先ほど条文にもあった「自立支援給付」は、下の図の黄緑色の部分全てにあたります。
引用:厚労省社会保障審議会障害者部会(第132回)参考資料1
自立支援給付の財政負担は、国が1/2、都道府県が1/4、市町村が1/4となっていて
地域生活支援事業の財政負担は、国が1/2以内、都道府県が1/4以内、市町村が1/4以上となります。
(自立支援給付は)財政規模が小さな市町村が年度初めに確保していた予算額以上のサービスを障害者に提供したとしても、提供したサービス費用の25%のみを負担し、残りは決められた割合に応じて、都道府県と国が負担することになります。
精神通院医療にかかる費用に関しては、市町村の負担はなく、都道府県が50%、国が50%を負担することになります。(地域生活支援事業は)自立支援給付とは異なり、年度初めに決められた予算の範囲内で、都道府県が25%以内、国が50%以内を負担。(略)これによって、市町村は年度初めに決めた予算の範囲内でサービスを提供することが多くなります。それは、財源規模が小さな市町村では予算以上の支出を負担することが難しくなるからです。
地域生活支援事業を市町村が提供していくときに、年度内で決められた予算額を超えると見通される場合は、障害者からサービス利用の申し込み等があったとしても断ることも起こります。
引用元:自立支援給付・地域生活支援事業の財源と利用者負担
移動支援(地域生活支援事業)→行動援護(自立支援給付)にされた娘の話
以前、娘の移動支援を申請したときに、役所の職員が「移動中パニックを起こしますよね」と言い(起こさないと言っているのに)、強引に行動援護にされたことがありました。
相談室さんに確認すると「移動支援は市町村に負担があるため、行動援護にされたのでは」という話でした。しかし移動支援の事業所側からすれば、「移動支援よりも行動援護の方が報酬が高いので、このままでいいのではないか」と言われ、そのまま行動援護で利用させてもらっています。
はじめは不思議でしたが、こういう理由だったのだと納得しました。
要介護区分と障害支援区分
障害者が65歳になると「第1号被保険者」となり、自治体から介護保険被保険者証が送られてきます(第2号被保険者の話は本題からずれるので省きます)。保険証はそのままでは使えず「要介護区分認定」を受ける必要があります。
「要介護区分認定」は、サービスを受ける上で必須で、非該当、要支援1・2、要介護1~5まであります。
障害福祉サービスにもこの介護保険の仕組みを元に作られた「障害支援区分」があります。
「障害支援区分」は、標準的な支援の度合いを表し、非該当、区分1(軽い)~区分6(重い)まであります。これは介護保険とは違い必ず受けなければならないものではありませんが、上の4つの図の左下の赤い部分、障害福祉サービスの「介護給付」を利用する際は支給量を決めるために区分認定を受ける必要があります。
障害福祉サービスなのに「介護給付」って名前を付けるとややこしくなりますね
右上の図を見ても分かる通り、主に身体機能や認知機能の衰えで判断されるようで(概況調査+基本調査74項目+特記事項+主治医意見書)、介護の手間がかからなければ区分は軽く出てしまいます。
そのため、障害者が介護保険に移行すると介護区分が軽く出て、今まで使っていたサービスの支給量が減らされたり、利用できなくなるということが起こるのです。
障害支援区分6だった人が、要支援1または非該当になることもあります。特に知的障害者だけの人は、体に障害がない人が多いですから、区分が軽く出るのではないでしょうか。
訴訟事件
障害者65歳の壁問題では次の2つの有名な訴訟があります。2例とも介護保険を申請しなかったという理由で、今まで使っていた障害福祉サービスが打ち切られたました。
浅田訴訟(岡山市)原告勝訴
原告の浅田さんは、重度の上下肢麻痺で身体1級・障害区分6・65歳以前は月249時間の重訪・非課税世帯
2013.9.19提訴 引用:浅田訴訟判決とその後
浅田さんは当初ボランティアの力を借りて生活を維持されていたそうですが、それも限界となり介護保険の申請をしました。
それにしても裁判に5年もかかったのですね。
原告主張
- 支援法7条は障害者の実情にあわせた運用が要請されている
- 介護保険給付による支援においても日常生活等を問題なく過ごせるなどの特段の事情がある場合のみ、優先する
- 実際に自立支援給付に相当する介護保険給付を受けた場合には、自立支援給付を行わない規定
- 裁量権の逸脱
- 上乗せ支給の推計が可能
- 岡山市は介護保険給付を受けたことを前提に、直ちに自立支援給付を打ち切るという運用をしている
- 憲法25条(基本的人権)14条1項(法の下の平等)に違反する
岡山県の主張
- 自立支援給付と介護保険給付とが質的に全く異なるものとは言えない
- 原告の主張だと選択受給を認めることに
- 障害者と要介護者の公平性
- 支援法7条は供給調整規定であり、介護保険の支給量が決まらない限り、不足する支給量は判断できない
- 申請すれば介護保険給付が支給されるに、申請をしないで介護給付を受給していない場合も「自立支援給付に相当するものを受けることができるとき」に該当する
- 介護保険の居宅サービス計画がないと上乗せ支給の要否などを判断できない
- 支援法7条は羈束処分(法執行にあたり行政庁の自由裁量が認められない処分)
- なので裁量権の逸脱はない
岡山地裁判決 2018.3.14 原告全面勝訴
- 憲法と法令の解釈の順序
- 本件においては、自立支援法7条の解釈・適用の点から、まず検討するのが相当
- 支援法7条の解釈により請求を認容
- 本件処分の違法性
- 自立支援給付決定をした上で、引き続き、原告の納得が得られるよう、介護保険給付に係る申請の勧奨及び具体的な説明を行うべきであった
- 岡山市の主張に対する判断
- 支援法7条は併給調整規定であり、二重給付の回避を目的
- 具体的な介護保険給付を受けることが決定されていない者について、仮に自立支援給付を行ったとしても、その段階において二重給付は生じない
広島高裁判決 2018.12.13 控訴棄却
- 自立支援法7条は、自立支援給付と介護保険給付等の二重給付を回避するための規定であって、介護保険給付を利用可能な障害者が、その申請をしない場合に、自立支援法7条に基づき、自立支援給付の不支給決定をすることは羈束処分とはいえず、裁量処分と解するのが相当である。
- ボランティア等がおり、必要最低限度の支援まで失われてしまうわ けではないことを判断の基礎として勘案したことは看過し難い誤りで あり、裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用にわたるものであって違法
天海訴訟(千葉市)係争中
原告の天海さんは、両下肢の機能の全廃で身体1級・障害区分4・65歳以前は身体介護月45時間・家事援助月25時間 住民税非課税世帯
住民税非課税世帯でも介護保険に移行すると軽減措置を受けても、それまでの負担ゼロから1万5千円の利用料が発生することになった。天海さんは生活保護を受けていない。
2015.11.27提訴 引用:浅田訴訟判決とその後 天海訴訟を支援する会 “次期”介護保険改悪と障害者65歳問題
千葉地裁判決 2021.5.18 原告敗訴
- 支援法7条は羈束処分(法執行にあたり行政庁の自由裁量が認められない処分)
- 総合支援法と介護保険法の違いは論せず
- 原告は、介護保険法7条1項の要介護状態が見込まれたのに、原告が要介護認定の申請をしないことに正当な理由はいため、申請を却下したことは適法である
東京高裁判決 2023.3.24 原告逆転敗訴
- 支援法7条は裁量処分(法執行にあたり行政庁の自由裁量が認められる処分)
- 障害福祉サービスは課税世帯の利用料が無料であるのに、介護保険の非課税世帯の障害者に利用料が課されるのは制度上の不均衡
- 千葉市は、制度間の不均衡を是正するために障害福祉サービスを継続する裁量権があったのに打ち切った
千葉市は上告し裁判は継続中です。最高裁判決が待たれます。
2015年から9年も経過してるなんて長過ぎです
浅田さんの裁判が始まったことで、全国から「サービスが打ち切られた」という声が上がり、厚労省は
・自治体の運用に関する調査(2014.8)
・介護保険移行に伴う利用者負担調査(2015.7)を行う
こうなる前に予想できなかったのですかね
65歳の壁 実例
実際にあった例として、どのようなことが起こっているのでしょうか。
- 介護保険の申請をしなかったという理由で、今までのサービスを全て打ち切られた
- 要支援の判定が出て、重度訪問介護が使えなくなった
- 障害福祉サービスの「居宅介護」を申請したら、介護保険優先といわれ「訪問介護」申請するも要支援の判定のため使えなかった
- 今まで仕事でヘルパー同行支援を利用していたが、介護保険移行後に使えなくなった
- 「訪問介護」が優先されるいわれ、「移動支援」で日用品の購入ができなくなった
障害福祉と介護保険の適用関係
介護保険優先の原則を図で表すと下のようになります。
出典:厚労省社会保障審議会障害者部会(第127回)資料5より
この介護保険優先の原則については、強制的に移行するのではなく、「個々の障害者の障害特性を考慮して支給決定を行うこと」と厚労省から、都道府県・市町村に何度も事務連絡を出しています。
自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項(厚労省)
2023年6月30日付の厚労省の事務連絡です。
これと同じ内容の事務連絡は何度か出されています。障害者に不利益にならないように適切な運用をしてほしいと書かれています。
適用通知:初出H19.3.28、H23.9.28、H25.3.29、H26.3.31、H27.3.31、R5.6.30(今回)
1.介護給付費等と介護保険制度との適用関係について
(1)障害福祉サービスに相当する介護保険サービスの特定について
市町村は、介護保険の被保険者である障害者から障害福祉サービスの利用に係る支給申請があった場合は、個別のケースに応じて、当該障害福祉サービスに相当する介護保険サービスによ
り適切な支援を受けることが可能か否か等について、申請に係る障害福祉サービスの利用に関する具体的な内容(利用意向)を聴き取りにより把握した上で、適切に判断することとしているが、改めて各市町村においては、適切な運用をお願いしたい。(略)その際、障害福祉サービスの利用を認める要件として、一定の要介護度や障害支援区分以上であること、特定の障害があることなどの画一的な基準(例えば、要介護5以上でかつ障害支援区分4以上、上肢・下肢の機能の全廃、一月に利用する介護保険サービスの単位数に占める訪問介護の単位数が一定以上等)のみに基づき判断することは適切ではなく、障害福祉サービスを利用する障害者について、介護保険サービスへの移行を検討する際には、個々の障害者の障害特性を考慮し、必要な支援が受けられるかどうかという観点についても検討した上で、支給決定を行うこと。
また、就労系障害福祉サービスや自立訓練(生活訓練)は障害固有のサービスであり、65 歳以降も介護保険サービスに移行することなく、個々のサービスの支給決定の要件の範囲内で引き続き当該サービスの利用が可能である。(2)具体的な運用の例について
・居宅介護・重度訪問介護を利用する障害者について、個々の障害者の障害特性を考慮し、介護保険の訪問介護の支給限度額では必要な支給量が不足する場合に、不足分について居宅介護又は重度訪問介護の利用を認める。
・居宅介護・重度訪問介護を利用する障害者について、個々の障害者の障害特性を考慮し、介護保険の訪問介護の支給対象とならない支援内容や時間(例えば、家事援助として認められる範囲の違いや、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守りなど)が必要と認められる場合に、介護保険の訪問介護の支給とは別に居宅介護又は重度訪問介護の利用を認める。
・ 自立訓練(機能訓練)を利用する障害者について、個々の障害者の障害特性を考慮し、介護保険の通所介護等では提供できない支援内容(例えば、白杖を用いた歩行訓練や意思疎通に困難を生じた場合の訓練等)が必要と認められる場合には、65 歳以降も引き続き、自立訓練(機能訓練)の利用を認める。
・ 共同生活援助(GH)を利用する障害者について、個々の障害者の状況等から見て必要と認められる場合には、65 歳以降も引き続き共同生活援助の利用を認める。なお、当該障害者の要介護度等に応じて、認知症グループホームや特別養護老人ホーム等への入居・入所を検討することが望ましい場合も想定される。(略)
3.要介護認定等の申請について
引用元:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項及び運用の具体例等について
介護保険の被保険者である障害者については、申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスにより適切な支援を受けることが可能か否か、当該介護保険サービスに係る介護保険給付を受けることが可能か否か等について判断するためにも、障害者の生活に急激な変化が生じないよう配慮しつつ、まずは、要介護認定の申請等を行っていただいた上で介護保険制度からどのようなサービスをどの程度受けられるかを把握することが適当である。
したがって、要介護認定等の申請を行わない障害者に対しては、申請をしない理由や事情を十分に聴き取るとともに、継続して制度の説明を行い、申請について理解を得られるよう働きかけること。その際、介護保険サービスに係る施設・事業所の見学等を案内することも、理解を得る上で有効と考えられること。
自治体による差
なぜ国がこのような事務連絡を、都道府県・市町村などに出したかというと、障害福祉制度は、国が枠組みを作り、対応が難しい課題を都道府県が行い、市町村がサービスの内容及び量の支給決定の権限持っているからです。
先ほどの自立給付のところで書きましたが、財政負担を国・都道府県・市町村がそれぞれに負担しあっている制度です。
そのため例えば、自治体によっては65歳以降には、ケアマネが使えるのだから、障害福祉の相談支援の利用ができなないところもあるようです。
ケアマネさんは介護事業所や介護サービスなどに詳しくても、障害福祉の事業所や障害福祉サービスには詳しくない方がほどんどです。ですから障害者には、ケアマネさんと相談室さんの両方ついてくれることが一番いいと個人的には思っています。
私が住んでいる自治体では、介護保険移行後も就労継続支援B型と共同生活支援援助(GH)は利用できるそうです。また、相談室もケアマネさんも両方利用できると聞いています。
知られていない新高額障害福祉サービス等給付費
先ほどの天海訴訟のところで、介護保険に移行したことで利用者負担が発生したとありましたが、介護保険制度は「1割負担」の制度です。今後は2割負担になると言われています。収入が少ない障害者が払っていけるわけがありません。
これは介護保険は「社会保険方式」(加入者の保険料で成り立つ)で、障害者総合支援法は「税方式」で、成り立っているため、介護保険に移行すると負担が発生してしまいます。
そこで、2018年からはじまった制度で、65歳になる前5年間継続して特定の障害福祉サービス(居宅介護・重度訪問介護・生活介護・短期入所)を利用していたなど条件(下)がありますが、利用者負担を償還払いする制度ができました。それが新高額障害福祉サービス等給付費です。
償還払い:いったん費用の全額を立て替えて支払った後、申請により規定の額が払い戻される仕組み
条件は次の通りです
- 65歳に達する日前5年間にわたり、相当する障害福祉サービスに係る支給決定を受けていた
- 利用者負担軽減の対象となるサービス
- 障害福祉サービス:居宅介護・重度訪問介護・生活介護・短期入所
- 介護保険サービス:訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・短期入所生活介護・小規模多機能型居宅介護
- 65歳に達する日の前日において「低所得」又は「生活保護」に該当し、65歳以降に利用者負担の軽減の申請をする際にも「低所得」又は「生活保護」に該当すること
- 65歳に達する日の前日において障害支援区分2以上であった
- 65歳まで介護保険サービスを利用してこなかったこと
償還を受ける場合も多くが1年間まとめてとなっています。医療費助成制度などと同様に、毎月償還を行っている自治体がわずかですが増える中、利用する障害者の実態を踏まえた検討が求められます。
引用元:“次期”介護保険改悪と障害者65歳問題
1年後にお金がまとめて戻ってくるって。。。
出典:厚労省社会保障審議会障害者部会(第127回)資料5より
右上の図からも分かるように、この制度はあまり周知されていないようです。
介護保険には半ば強制的に移行させるのに、こういうことは申請主義の弊害で教えてもらえないなんて、障害者は情報弱者・社会的弱者なのだから、そういう人のために積極的に教えてあげる制度・仕組みがあってほしいです。
65歳前5年間の具体例と、所得の具体例が載っていました。詳しくはお住いの自治体に確認してください。
出典:高額障害福祉サービス等給付費等に関する支給認定について
2000年に介護保険がスタートして、2018年に新高額障害福祉サービス等給付費ができたということは、18年もの間、非課税世帯であったも利用者負担が発生していたということです。
広がらない「共生型」
2018年からはじまった制度で、介護保険に移行した障害者で、利用している障害福祉の事業所が「共生型」の指定を受けている場合、そのままそこの事業所を利用できる制度です。
ただし、共生型は事業所にとっては報酬が低いこと、人員不足などが原因でなかなか広がっていないのが現実のようです。
介護保険と障害福祉
障害福祉のグループホームや生活介護事業所では、利用者の「介護の割合」が高くなっているという話を聞きます。
障害者のグループホームに入居しながら、介護保険の訪問看護・訪問医療・リハビリをうまく使って機能回復された方もいるそうです。こういうことが可能なのは、知識があってかつ親身になってくれるケアマネさんや相談室さんがついている場合に限るように思います。
ちなみに、障害者入所施設に入所している障害者には、介護保険サービスに相当する介護サービスが提供されているという理由から、介護保険の被保険者とはならないとされている。つまり介護保険の対象外ということです。
特養と高齢知的障害施設の違いと課題
入所者全員が50歳以上で構成されている障害施設で働いている方のお話です。(引用:のぞみの園ニュースレター39)
特養と知的障害施設の違い
・ADLの分散がかなり大きい
・認知症の状態像が直感的に違う
・高齢になったという自己認識の希薄さ
・利用者の行為や気持ちと、その背景にあるストーリーの違い
そして要介護高齢者と異なる、特別な専門性が必要と感じたそうです。
そして現場では次の課題を抱えている
・高齢でも利用者はまだ頑張っている(残存機能で更なる生活機能向上に向けて)
・支援者もすごく頑張っている
・介護のイロハの学習不足
・支援者の適切な労働(特に夜間)が評価されていない
・数年後の利用者像の見通しがない
・医療ニーズが高い
障害福祉を学んだ人が介護や医療についての知識がないのは当たり前です。でも現場では、その3つが必要とされていて、支援者の方の大変さは一般高齢者の介護よりも上回ると思います。
やはり高齢知的障害者は、一般の要介護者とは違うのです。特に知的障害のある自閉症の人が、一般高齢者と同じ支援・介護で上手くいくとは到底思えません。それは知的障害のある自閉症の子の親や、障害福祉に長く関わってきた支援者の人には、すぐに分かることだと思います。しかし、関わってこなかった人が政策を作るなら、一緒にまとめても大丈夫という発想になるのではないでしょうか。
個人的には成年後見制度と同じく、高齢者と障害者を同じ制度に混ぜるのをやめてほしいと思っています。
全国知的障害児者施設・事業実態調査
令和4年度の全国知的障害児者施設・事業実態調査による介護保険サービスの調査を見てみます。
「介護保険サービスへの移行状況」令和3年度に新規に介護保険サービスへの移行又は併給を開始した人を調べた結果です。
年齢別構成
年齢階層別に見ると,「介護保険法の保険給付優先」とされる65歳以上のうち,「65〜69歳」が35.3%(128人)と前年度36.0%より0.7ポイント減少しているが,最も割合が高かった。次いで,「70〜74歳」が21.5%(78人),「75〜79歳」が14.9%(54人)と続いている。この傾向は前年度,前々年度と同様であった。
引用元:令和4年度全国知的障害児・者施設・事業実態調査報告
65歳になって、介護保険にすぐに移行していない人も割といるということです。介護保険優先原則があっても、強制されずに介護が必要になったから移行したということですね。
生活の場の変化
開始前の生活の場が「施設入所支援」であった138人のうち,開始後の生活の場が「特別養護老人ホーム」の人は65.9%(91人)と,前年度52.2%より13.7ポイント増加し,最も割合が高く,次いで,「介護老人保健施設」が11.6%(16人)であった。この傾向は前年度と同様だった。なお,介護療養型医療施設9.4%(13人),「その他」8.7%(12人)であった。
また,開始前の生活の場が「グループホーム・生活寮等」であった105人のうち,開始後の生活の場が同じく「グループホーム(障害福祉)」であった人は60.0%(63人)で前年度61.2%より1.2ポイント減少したが,最も割合が高く,次いで「特別養護老人ホーム」が20.0%(21人)と続いた。
施設入所だった人が→特養・介護老人施設・介護療養医療施設へ
GHだった人が→同じく(障害福祉の)GH・特養へ
施設利用者は重度の方が多く老化も早いですから、介護保険に移行して、介護が必要な施設へ行かれるのでしょう。
介護認定区分と障害支援区分
障害支援区分が「区分6」である131人のうち,介護認定区分が「要介護5」となった人は37.4%(49人)と前年度35.6%に対し1.8ポイント増加し,最も割合が高かった。また,介護保険制度の施設サービスを受けられる要介護3以上の人が67.9%(89人)だった。一方で,「要介護2」以下になった人が13.0%(17人)いた。
「区分5」の85人では,介護認定区分が「要介護4」となった人が23.5%(20人)と最も多く,「要介護3」以上が48.2%(41人),「要介護2」以下が29.4%(25人)だった。
また,「区分4」の55人では,介護認定区分が「要介護1」となった人が27.3%(15人)と最も割合が高く,「要介護3」以上が29.1%(16人),「要介護2」以下が60.0%(33人)だった。
「区分6」では「要介護2」以下は1割強だが,「区分5」では3割,「区分4」では6割に達している。障害支援区分が下位になるに従い「要介護2」以下の割合が高くなっており,介護保険の施設サービス利用が困難になっていると考えられる。
介護保険サービスへ移行・併給を開始した理由
「加齢により支援が限界となったため事業所側から移行・併給を働きかけた」が50.7%(184人)と前年度46.3%より4.4ポイント増加し最も割合が高かった。
次いで,「家族の希望により」4.6%(53人)
「市町村等行政から65歳になったので移行指示があった」が13.2%(48人)
「その他」10.7%(39人)と続いた。
障害福祉サービス事業所で,高齢化した利用者への支援体制がまだ不十分であることや障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則を機械的に適用している市町村が少なくないのかもしれないが,いずれにせよ,「本人の希望により」移行・併給を開始した割合が最も低く10.5%と1割強でしかないことは課題であろう。「本人の希望により」と「家族の希望により」をあわせても25.1%と全体の3割に満たなかった。
また,最も割合が高かった「加齢により支援が限界となったため事業所側から移行・併給を働きかけた人の年齢構成を見ると,「70〜74歳」が8.3%(52人)で最も割合が高く,次いで「65〜69歳」が27.2%(50人)であった。他方で,理由が「加齢により支援が限界となったため…」であるにもかかわらず,比較的若い40〜64歳で利用開始した人が, 11.4%(21人)いた。
「本人の希望により」が少ないのが課題と書かれていますが、当たり前だと思います。特に自閉症の人は、もともと若い時から環境の変化に弱い人たちですから、年を取ればさらに自分から進んで新しい環境に行きたいなんて思わないでしょうし、家族もそれを知っているから、進んで「介護施設へ」とは簡単にはいえません。
むしろ障害者側の課題ではなく、介護と障害の支援がある安心できる場所があるのならいいのですが、その事業所が少ないということが課題といえます。
加齢が原因で支援が限界になった若い年齢40~64歳の人たちは、老化が早い人、もしくは認知症を発症した人たちなのではないでしょうか。
廃止されるはずだった介護保険優先原則
引用:厚労省 障害支援区分に係る研修資料
なぜ介護保険優先原則ができたかについては、過去20年間の経緯を知る必要があり、その経過をたどります。(引用元:“次期”介護保険改悪と障害者65歳問題)
- 2000年(H12):介護保険制度スタート
- 福祉制度にはじめて「利用契約」が導入される
- 2003年(H15):支援費制度スタート
- 障害福祉の分野も同じく「利用契約」が導入される
- 利用者が増え、国は財源不足に陥る
- 2004.10:制度が維持できなくなると考えた厚労省は「改革のグランドデザイン」で、介護保険制度と障害福祉制度の統合を検討
- しかし、障害者団体から懸念が出て断念
- 2005年「障害者自立支援法」閣議決定
- 利用料について「応能負担」→「応益負担」への変更が盛り込まれる
- しかし、反対の声があがっていた
- 2005年8(H17):国会が郵政解散し一旦廃案となるが、自民党大勝でほぼ原案通り可決成立した
- 2006.4(H18):「障害者自立支援法」施行
- これまでなかった負担が障害者と家族に発生
- 通所控え・無理心中などの事件が起こる
- 事業所は日割報酬によりの運営が厳しくなる
- 廃止を求める運動が起こる
- 2008年10(H20):自立支援法違憲訴訟が提起される
- 2009.4第二次提訴
- 全国14の地方裁判所で71人が原告となる
- 2009年8(H21):民主党へ政権交代が起きる
- 厚労省大臣となった長妻氏が就任直後、裁判の和解を呼びかけ
- 2010.4(H22)全ての和解が成立
- 国と交わされた「基本合意文書」(2010.1.7)には
- 遅くとも2013.8(H25)までに障害者自立支援法を廃止し、新たな福祉法制を実施する
- 障害福祉施策は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする
- 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害特性に配慮した選択制の導入をはかること
- 2010.1(H22):障害者制度改革推進会議での議論スタート
- 委員の過半数が障害当事者
- 2011.8.30「骨格提言」に介護保険優先の廃止が盛り込まれるが、衆参ねじれ国会の影響を受け
- 2012.6障害者総合支援法成立:介護保険優先は廃止されずそのままの形で残る
- 利用者負担は9割が無料
- ただし、結婚している世帯、中途障害、配偶者や本人が課税世帯は負担発生
- 自立支援医療負担の低所得無償化は見直されず
- 2013.4.1(H25):障害者総合支援法施行
- 2014.1.20(H26):国連 障害者権利条約批准
- 2022.9(R4):国連 障害者権利員会「総括所見」
参考:厚労省 障害者自立支援法違憲訴訟に係る基本合意について
参考:障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現を目指す会
結局、結論はお金がないから、国(自民党)は、何度も介護保険優先の廃止が上がり、基本合意文書を交わしているのにも関わらず廃止していないまま、今に至っているということです。
今後も少子化で税収は減る一方ですから、廃止されることは永久にこないように思います。
その代わりの妥協案として、色々な制度(新高額障害福祉サービス等給付費とか共生型とか)が遅れてできて、複雑なわかりにくい制度になってきたのでしょうね。
国立のぞみの園より
国の施設で、重度知的障害者への支援・調査・研究を行う国立のぞみの園ニュースレター52号(2017年)では「介護保険との連携」として介護保険と障害福祉に関して問題点と今後の課題について次のように書かれていて、とても的を得ていてわかりやすく勉強になったので、引用させていただきました。
Ⅰ.障害福祉制度と介護保険制度の適用
障害福祉制度と介護保険制度との関係については、平成19年に厚生労働省から出された「障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」の通知により、以下のような概要が示されています。
- 障害者支援施設に入所している者は介護保険の被保険者にならない。
- 65歳以上の障害者で自立支援給付を受給している場合も、介護保険が優先。(公費負担の制度よりも社会保障制度の給付を優先)
- 介護保険サービスを一律に優先はせず、障害者の利用意向を聞き取った上で、市区町村が適切に判断する。
- 障害福祉サービスにあって介護保険サービスにないサービスについては利用できる。
- 介護保険サービスを利用した場合、限度額を超える利用量が必要と認められるのであれば、障害福祉サービスを併用して利用することができる。
しかしながら、これらについては実際の運用を行う市区町村により様々な判断がなされています。平成24年に当法人研究部が全国の市区町村を対象に、障害福祉と介護保険のサービス利用に関する判断と対応についての調査を行った結果、1198の市区町村から回答を得ました。
本人の意向を聞き取って適切に対応している市区町村は必ずしも多くないこと、運用に当たって様々な問題が起きている現状などについて把握することができました。その後、平成27年2月に厚生労働省から、再び同様の通知が各都道府県等に対して発出され、適用に関する留意事項として改めて適切な対応やスムーズな移行が行えるよう配慮することなどを促しています。
Ⅱ.当法人のグループホームで 実際に利用した事例から
平成24年度より当法人グループホームにおいて、利用者の希望や意向に基づき、日中活動に介護保険施設を積極的に利用するよう取り組んできました。高齢・重度の利用者に対して、デイサービスなどで実施しているようなプログラムを行う生活介護事業所が少ないことから法人独自で支援してきましたが、やはり個別対応が難しく、本人たちの希望や支援ニーズを必ずしも充足できていなかったためです。
介護保険のデイサービス(通所介護)の事業所数は生活介護事業所数と比較すると、圧倒的に多いことは全国共通のはずです。様々な特色のある事業所も多く、小規模のデイサービスで職員との関わりを楽しむ人、大型の介護浴槽で安心して入浴できるようになった人、大好きなカラオケが毎日歌えるデイサービスに大喜びで通う人等々、利用している本人たちの満足度は高いようです。また、生活介護事業所の送迎はバスストップ型が多いのですが、介護保険の通所介護は原則的にドアtoドアで行うことから、車椅子利用者の対応などについてマンパワーの観点からも有意義と言えます。
取り組みを進めていく中から様々な問題があることがわかりました。まず、事業所を探す段階で、障害を理由に断る介護支援専門員(ケアマネージャー)や事業所が多く、本人の面接や体験利用など、事業所側に障害を理解してもらえる配慮が必要であり、利用開始まで多くの時間を要しました。また、利用を開始する際にも職員を同行させ、直接支援するスタッフへ本人の特性や支援のポイントを伝えるなども行いました。
次に障害支援区分と要介護状態区分の乖離の問題です。障害支援区分6の利用者であっても要介護状態区分が低く、毎日通いたくても通えないことから、必然的に生活介護事業所と併用せざるを得ない状況になりました。
さらに利用に際して1割負担が有ることから、場合によっては障害基礎年金だけではまかなえない状況が派生し、貯蓄を切り崩して対応しました。障害が軽く、在宅で生活していた人にとっては厳しい負担になると思われます。
それ以外にもサービスなど利用計画とケアプランの作成にあたっての視点の違いや、モニタリング期間や方法の違い、相談支援専門員とケアマネージャーを含めた支援会議の必要性なども実際に利用する中からわかってきました。
行政機関の実際の運用についても問題が散見しました。支給する市区町村について、障害福祉制度は居住地特例であり、介護保険制度は住所地主義を取っていることから、申請や切替などの連携がスムーズに行えないことや、市区町村から障害福祉サービスと介護保険サービスのどちらか一方の利用に絞って欲しい旨の要望が出された等です。さらに、一律65歳になる際に一旦障害福祉サービスを停止し、介護保険の申請を行い、介護保険2次審査で障害福祉サービスの利用が妥当であると判断されないと障害福祉サービスの継続を認めないという市区町村が出てきたりと、決して適用されていると思えない状況も確認できました。
Ⅲ.介護保険サービスとの連携に際して
冒頭の障害者総合支援法施行3年後の見直しの報告書では、会議や相談機能など仕組みとしての連携や本人への支援の連携の他、利用者負担や居住地特例についての検討を行うべきとしています。また、平成28年5月に国会で成立された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」では、「高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用」として、高齢障害者が介護保険サービス利用時の利用者負担を軽減できる仕組みを設けることと、障害福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすくする等の見直しを行うこととしています。さらに平成29年1月に行われた全国厚生労働関係部局長会議において、老健局より「地域共生社会の実現の推進」と銘打って、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくするために、介護保険制度と障害福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置付けることが報告されました。
今後、障害福祉と介護保険の連携は必須であり、われわれ障害福祉の支援者も改めて介護保険制度の理解が必要となります。障害福祉側には、介護保険を疎んずるような動きもありますが、実際に使ってみると、乗り越えなければならないことはまだまだあるものの、地域支援において、本人が利用できるサービスは質量共に増えることが確実であり、本人の生活をより豊かにすることのできるツールとしても有効です。更に、利用者負担が軽減されれば、利用についてのハードルはさらに下がることと思われます。障害福祉と介護保険のそれぞれのサービスを熟知し、本人の希望をかなえ豊かな暮らしを支えるために、双方を組み合わせた総合的なサービス計画を作成することが、今後の地域支援に必要な視点となるはずです。
知的障害者にとって、高齢化して地域で暮らし続けることは難しく、障害が重度になるほど障害者支援施設へ入所せざるを得ないのが実情です。医療対応、緊急対応、親亡き後等、現状の障害福祉サービスでは対応に限界があり、地域生活支援拠点など新しい仕組み作りが叫ばれています。
一方、介護保険制度は、高齢者を在宅で支援することを中心に作られた仕組みであり、それに基づいてサービスが準備されています。障害特性に特化した部分を障害福祉サービス、医療も含む高齢者としての対応を介護保険サービス、これらを基盤とした地域の支援ネットワークを構築し、本人主体でコーディネートすることこそ、高齢知的障害者が地域で暮らし続けることを可能にすると考えています。
まとめると次のような問題点があります。
- 介護事業所を探す段階で、障害を理由に断るケアマネと事業所が多く、利用開始まで時間がかかる
- 障害区分と介護区分の乖離。
- 障害区分6の利用者の介護区分が軽いため、介護事業所へ毎日通所することができず、結果的に生活介護と併用せざるを得ない状況
- 利用者負担1割のため、障害年金だけでは賄えない状況。
- 障害サービス利用計画とケアプラン作成にあたり視点の違い、モニタリング期間・方法の違い
- 相談支援専門員とケアマネージャーを含めた支援会議の必要性
- 障害福祉は居住地特例、介護保険は住所地主義のため、申請や切替などの連携がスムーズに行えない
- 市区町村から障害福祉サービスと介護保険サービスのどちらか一方の利用に絞って欲しい旨の要望が出された
- 市町村から一旦障害福祉サービスを停止し、介護保険の申請を行い、介護保険2次審査で障害福祉サービスの利用が妥当であると判断されないと障害福祉サービスの継続を認めないといわれた
国はお金がないから、障害者も介護保険制度を使ってほしいのだけど、実際の介護現場や市町村でさえ、この面倒な問題に関りたくない・混乱しているという状況が分かりますよね。
やはり、高齢障害者を一般高齢者と同じ制度に混ぜるのは上手くいかない、障害者側が圧倒的に不利益になると私は思っています。まぁそんなことさえ、気にもされていないのでしょうけど。
正直、障害児の親としては、この問題が解決できる日がくるとは到底思えません
参考・引用元
- “次期”介護保険改悪と障害者65歳問題
- 日本知的障害者福祉協会令和4年度全国知的障害児・者施設・事業実態調査報告
- 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園ニュースレター
- 高額障害福祉サービス等給付費等に関する支給認定について【平成30年6月版】
- 厚労省社会保障審議会障害者部会(第127回)資料5
- 高齢期の知的障がい者支援に関する現状と課題
- 厚労省障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
- 厚労省社会保障審議会障害者部会(第132回)参考資料1
- 自立支援給付・地域生活支援事業の財源と利用者負担
- 厚労省障害支援区分に係る研修資料
- 厚労省要介護認定の仕組みと手順
- 浅田訴訟判決とその後
- 天海訴訟を支援する会
- 自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項
- 厚労省障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項及び運用の具体例等について
- 高額障害福祉サービス等給付費等に関する支給認定について
- 高齢期の知的障がい者支援に関する現状と課題(前編)
- 高齢期の知的障がい者支援に関する現状と課題(後編)
- 厚労省 障害者自立支援法違憲訴訟に係る基本合意について
- 障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現を目指す会
- 内閣府 障害者白書R5年度版
まとめ
内閣府 障害者白書R5年度版によると、国民のおよそ9.2%が身体・精神・知的の障害を持っているそうです。
国は仕組みを作って、それを都道府県・市町村が実行する。そして不具合や問題が出てきたらその都度、修正していくという考え方なのだと思いますが、制度の対象者の人口が多い場合は、問題も早く出て修正もできるのでしょうが、障害者は人口が少ないため、すぐに修正されないのではないでしょうか。
「新高額障害福祉サービス等給付費」も「共生型」も、介護保険開始から18年後にできたのは、対応が遅すぎると思います。そして現在も「共生型」が広がっていないことへの対策が取られていません。
また、日常生活もままならない障害のある人が、裁判を行わなければならなかったなんて、心労はいかばかりかと思います。民主党政権時代だったと言え、国と約束した基本合意文書が守られないなんて、今回はじめて知り衝撃を受けました。
今後も日本の社会保障制度は改悪が続いていくでしょう。一般の高齢者でさえ、今後は介護保険料が2割負担に上がり、75歳以上の医療費窓口負担も2割から3割といわれていて、消費税も上がり続けますから、誰にとっても長生きすることが本当に大変な時代になりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。