2024(令和6)年に障害者総合支援法が改正されます。
障害児の親として、障害者総合支援法の改正は子どもの生活に関係してくるところなので、とても気になるところです。
知的障害児の親として思いを書いていきます。
障害児の親として書いていますので、詳しくお知りになりたい方は専門家の情報をご覧ください。
参考資料
障害者総合支援法
2015(H25)年に施行された障害者総合支援法は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律です。厚労省の社会保障審議会の障害者部会で審議されて、3年に1度の頻度で改正が行われているそうです。
今回の改正は、2022年12月16日公布 2024年4月1日施行です。
定期的に見直されていて安心ですね
障害者総合支援法の関連法、障害者雇用促進法・精神保健福祉法・難病法・児童福祉法も一部改正が行われるそうです。
改正
気になったところを、簡単に説明し感想を述べていきます。
地域生活支援
通過型のグループホームができる
これまでのグループホーム(以下GH)に加えて、一人暮らしを希望する人には一人暮らしができるように、GH側がサポートをすることができるようになりました。また、一人暮らしをして上手くいかなくても、従来型のGHに戻ることもできるそうです。
選択の幅が広まって「一人暮らしをしてみたい」と思っている人に、チャレンジの機会が与えられるのはすばらしいことです。
相談室
障害者の人の相談事を地域でまとめている基幹センター設置が、任意規定→努力義務に格上げさせた。
ピアサポートの配置の推奨。
就労
就労選択支援
その人が、どれくらいの仕事ができるかの見極めをするために、アセスメントを取りその結果、関係機関と連携し、一般就労・就労移行支援・就労継続支援A型B型などにつなぐ支援。
アセスメント期間は、その人によって違い数週間から1.2カ月程度。
厚労省 障害者の就労支援について③p28
支援の必要性が高い方(左図オレンジ)
・就労移行支援(期間2年)を利用中で3年目に入っている方
・就労継続支援A型B型をはじめて使う方
主に高等支援学校の生徒が在学中に使うことが想定される
現在の就労アセスメント
※私の実体験、相談室さんや移行支援事業所さんから聞いた話なので地域によっては違うかもしれません。
現在B型の作業所を利用する場合、「あなたはA型じゃなく一般就労でもなく、B型が相当ですね」と証明?検査?するために就労移行支援事業所の補助的な業務としてある「就労アセスメント」を取る必要があります。就労移行支援ならば、どこの事業所でもアセスメントを取ってくれる訳ではありません。
就労アセスメントは、(PCができる人なら1週間くらい、他の作業なら1カ月くらい)チェック項目の評価を出し、事業所が福祉課に報告・提出するものですが、実際はB型の作業所を利用する前提で取るものとなっているようです。
hakuは就労移行支援事業所さんに学校に来てもらい、普段の学習の様子を見てもらいアセスメントを取りました。支援学校高等部でB型に行きたい子は、学校に直接来てもらって取る場合が多いようです。
アセスメントを取ったからと必ずB型に行かなければならない訳ではないですし、アセスメントの有効期限もないそうです。実際は生活介護を使っても、数年後にB型を使いたいと思えば、学生の時にとったアセスメントがあるのでB型が使えるということです。
これが現在の仕組みです。
移行支援事業所の補助的な業務だったものが、格上げされたイメージでしょうか。
他にも
精神障害者への支援 難病患者への支援強化 データベース化 など
児童福祉法改正
又村さんの動画を元に要点をまとめてみました
- 児童発達支援センター
- 児童発達支援センターがその地域の核となる
- 児発・放デイの相談に乗り、事業所の質を上げる役割
- インクルーシブの推進として、児発・放デイと学童の併用など
- 地域の障害児の相談窓口
- きょうだい児の支援
- ペアレントメンター
- こども家庭センターとの連携
- 障害児入所施設
- 福祉型(障害児)、医療型(重度心身障害児)の枠をなくして一本化
- 家庭での対応が難しくなった障害児が入所し、家庭に戻れないまま大人になった場合、大人の入所施設に移れずにいたのが、政令指定都市が責任を持って23才までには大人の施設に移れるようにするようにと明記
- 入所施設にソーシャルワーカーさんを置き、15才以降に成人サービスへの移行支援を導入
- 施設に在籍中に大人のサービスを体験利用させる
- 児発・放デイの役割
- ①健康・生活②運動・感覚③認知・行動④言語・コミュニケーション⑤人間関係・社会性の「5つの領域」をトータルで提供すること。これができない場合、公費の対象外とする
- 放デイに関しては、「5領域」のガイドラインを年齢に応じたものに修正される
- 親の就労を支えるために、支援時間が長くなる場合、報酬も高くする
- 学校との連携
他害や強度行動障害を持ち、家庭で対応が難しくなり入所施設に入ったお子さんが、再び家庭に戻る確率が少ないというお話でした。施設は、専門の職員さんがいますし、一日の流れも分かりやすく、家庭のような甘えも許されないので安定しやすいのかも知れません。強度行動障害のある子どもが成人になったからと、親が施設や事業所を探すのはかなり難しいことだと思います。SWさんが探してくれるのは助かりますね。
児発や放デイが「5つの領域」を満たさないといけなくなったのですね。学習だけ運動だけの特化型は、塾やクラブと同じという意味だから公費対象外ということですね。
親の就労を支えるために、朝早くから夜遅くまで(8~18時)預かってもらえるようになるというのはありがたいですね。
関連政省令改正
総合支援法の関連する政省令の改正も、今後行われるそうです。又村あおいさんの動画で 34:20『部会報告に基づく法改正・制度改正の方向性』が分かりやすかったです。(2023年の秋冬くらいに決まってくるそうです)
- 入所施設の専門性を地域に還元する
- 強度行動障害のある方の集中的支援
- 器物損壊を経費に
- 自立生活援助を相談事業所へ担ってもらうために規制緩和
- 就労移行支援・継続支援の利用者の拡大
- 療育手帳の新しい判定基準など
就労移行支援・継続支援の利用者の拡大
企業に就職した人が、働いている間でも就労移行支援や就労継続支援を使えるようになる。併用もできるようになるということです。働き始めや高齢になって体力的にきつくなってきた時などを想定されているとか。
今までは移行支援は、利用期間が2年(最大3年)という縛りがありましたが、これがなくなるのはいいことですね。
総合支援法は関係ないですが
65才以上の障害者の話、勉強になりました
65才以上の障害者の話
一般的に65才以上の高齢者は介護保険制度の利用対象となりますが、障害者の場合は一般の高齢者と同じ事業所を使うことは難しいことが多いと思います。
H19年に国が「一律に介護保険が優先されるわけではない」と通知を出しているそうですが、市町村側に周知徹底されていないとか。共生型という事業所もありますが、現状は増えてないようです。私の地域も2件ほどしかありません。
介護サービスと障害福祉サービスを同じ事業所でやってもいいというもので、制度は介護保険だけど生活介護事業所・短期入所・ヘルパーを利用することができるというものなのだそう。
共生型、増えて欲しいです
まとめ
今回は障害者総合支援法の改正についてご紹介させていただきました。
障害者総合支援法という法律があることで、障害者の人たちが生きやすいようにと審議を重ねられて、よりよく改正され続けていることを知ることができ、ありがたいと思いました。
又村あおいさんの解説はとても分かりやすいですね。
今後も法改正や制度の変更などに注目していきたいと思っています。